アセットロケーション診断
制度と計算の根拠
この診断は、公表されている税制の数字だけで動いています。相場も為替も予測していません。 何をどう計算しているかを全部出しておくので、納得できないところは前提値を書き換えて確かめてください。
使っている税率
所得税15% + 復興特別所得税0.315% + 住民税5%。上場株式等の譲渡益・配当にかかります。
- 国内の申告分離課税: 20.315%
- 米国株・米国上場ETFの配当にかかる現地源泉徴収: 10%(日米租税条約 / W-8BEN提出済みの場合)
- 新NISA つみたて投資枠: 年120万円
- 新NISA 成長投資枠: 年240万円
- 生涯非課税保有限度額(簿価): 1800万円(うち成長投資枠は1200万円まで)
配当100円の行き先
額面100円の配当が、最終的に手元にいくら残るか。ここに置き分けの答えが全部あります。
国内株の配当 / 特定口座
100円 − 国内課税 20.315円
79.69円
国内株の配当 / NISA
国内課税ゼロ。取りこぼしなし
100.00円
米国上場ETFの配当 / 特定口座・申告しない
現地10円 → 残り90円に国内課税18.28円
71.72円
米国上場ETFの配当 / 特定口座・外国税額控除を満額
上に加えて現地10円が還付される理論上の上限
81.72円
米国上場ETFの配当 / NISA
国内課税はゼロ。ただし現地10円は取り戻せない
90.00円
国内籍・分配ありファンド / 特定口座
二重課税調整制度により、申告なしで国内税から外国税が差し引かれる
79.69円
国内籍・分配ありファンド / NISA
差し引く国内税がゼロなので、調整が効かない
90.00円
なぜNISAで外国税額控除が使えないのか
外国税額控除は「外国で払った税金を、日本で払う所得税から差し引く」仕組みです。 差し引く相手である日本の税金が必要になります。
NISA口座はその日本の税金がゼロです。だから差し引きようがなく、現地で引かれた10%はそのまま残ります。制度の穴ではなく、仕組み上そうなるということです。
これは金額としてはっきり出ます。配当利回り3.5%の米国ETFを300万円ぶんNISAに置いていれば、 毎年 300万 × 3.5% × 10% = 10,500円 が取り戻せないまま消えていく計算になります。
ただし、だからといって「NISAに入れるほうが損」ではありません。 手取りだけで比べればNISA(現地10%だけ)のほうが特定口座(現地10%+国内20.315%)より常に多く残ります。 効いてくるのは枠が有限であることです。同じ1円の枠なら、取りこぼしのない資産に使ったほうが節税額は大きくなる。 この診断が並べ替えているのは、そこです。
二重課税調整制度
国内籍で分配金を出すファンドだけに用意されている仕組みです。
投資信託や東証上場ETF(国内籍)が外国株から配当を受け取ると、現地で税金が引かれます。 この分を、分配金にかかる国内の源泉徴収税額から自動的に差し引くのが二重課税調整制度です。 確定申告は要りません。
額面100円の分配金なら、国内税 20.32円 から外国税 10円 を控除して 10.32円 が源泉徴収され、手取りは 79.69円。 国内資産とまったく同じ手取りに揃います。
NISA口座ではこの調整も効きません。国内の源泉徴収税額がゼロで、差し引く相手がないためです。 無分配の投信(いわゆるオルカン・S&P500系の多く)は、そもそも投資家に分配金が出ないので、 この論点自体が発生しません。
外国税額控除で「取り戻せる割合」の目安
控除限度額 = その年の所得税額 × (国外所得 ÷ 所得総額)。所得税額が小さいと取り戻しきれません。
確定申告はしない(源泉徴収ありで完結)
0%
外国税額控除は確定申告が前提。申告しない場合、現地10%は特定口座でも取り戻せません。
申告する / 課税所得 195万円未満
60%
所得税額が小さいため控除限度額に収まりきらないことがあります。
申告する / 課税所得 195万〜695万円
85%
国外所得の比率が小さければ、おおむね満額に近い控除が期待できます。
申告する / 課税所得 695万円以上
95%
所得税額が大きく、控除限度額に余裕が出やすい区分です。
これは概算の目安です。実際の控除限度額は国外所得の比率や他の控除で変わります。 正確な金額は確定申告書の計算、または税理士にご確認ください。
損益通算の扱い
NISAは損失も「無かったもの」になります。
特定口座で出た損失は、他の口座の利益と相殺でき、相殺しきれない分は3年間繰り越せます。 NISA口座の損失にはこれがありません。
そのため、値動きの大きい資産をNISAに置くことには、非課税の恩恵と引き換えに 「通算する権利を捨てる」という側面があります。この診断では、想定変動率にもとづく控えめなコストとして 率から差し引いています(入力画面でオフにできます)。期待値としては小さい効果なので、 順位をひっくり返すほどの重みは持たせていません。
資産タイプごとの前提値
初期値は代表的な水準を丸めたもの。予測ではありません。診断画面で編集できます。
| 資産タイプ | 値上がり | 配当 | 枠1円あたり |
|---|---|---|---|
| 米国グロース株 | 7% | 0% | 1.42% |
| 日本連続増配株 | 4% | 2.5% | 1.32% |
| 日本高配当株 | 2% | 4% | 1.22% |
| 日本グロース株 | 6% | 0% | 1.22% |
| S&P500投信 | 6% | 0% | 1.22% |
| J-REIT | 1% | 4.5% | 1.12% |
| 全世界株投信 | 5.5% | 0% | 1.12% |
| 米国高配当ETF現地10% | 3% | 3.5% | 0.95% |
| 東証外国株ETF現地10% | 3% | 3% | 0.92% |
| 米国配当株現地10% | 3% | 3% | 0.90% |
| カバコETF現地10% | 0.5% | 8% | 0.88% |
| 米国REIT現地10% | 2% | 4% | 0.80% |
| バランス投信 | 3.5% | 0% | 0.71% |
| 債券 | 0% | 2.5% | 0.51% |
「枠1円あたり」は、外国税額控除を85%取り戻せる想定(課税所得195万〜695万円の区分)で、損益通算のコストを引く前の税率差だけを出しています。 参考として、国内資産で配当も値上がりも合わせて年5%なら 1.02% が枠1円あたりの節税額になります。
前提の限界
この診断が扱っていないこと。
・為替の変動は考慮していません(円換算後の金額で入力してください)。
・配当控除(国内株を総合課税で申告する選択)は扱っていません。課税所得が低い方はそちらが有利になる場合があります。
・将来の売却計画、他の所得、繰越損失の残高など、個別の事情で最適解は変わります。ここで出るのは一般原則にもとづく目安です。
・成長投資枠で買える商品は、整理・監理銘柄、信託期間20年未満・毎月分配型・高レバレッジ型の投信などが除外されます。 実際に買えるかどうかは証券会社の取扱いをご確認ください。
・ここに出る数字はすべて前提値からの機械的な計算です。たとえば値上がり益3%・配当利回り3.5%の米国上場ETFなら、 NISAでの税引後リターンは 6.15%、特定口座(控除85%)なら 5.20% になります。前提値を変えれば、この差も順位も変わります。